《王国》
だれもが自分の国の王様
いい国にしたいなら
自分で環境をつくらねば
その国を守りたいなら
あやしい侵入者と時に闘わねば
なにより魅力的な主君であらねば
だれもが自分の国の王様
それなのに
いつも何人かの奴隷になっている気分の者もいる
もったいないよ
かなしいよ
よしもとばなな の
『王国』シリーズを読んでいる。
ばななさんの物語の登場人物は
いつだって変な境遇で
いつだって変な生活をしてるのに
いつだって共感できる。
つまりは境遇がどうあれ
現実を生きる人間の物語だから共感できる。
自分が日々生きる中で感じる
おおきな感謝と
ささやかな戸惑い
その感覚が言語化されているから
自分の中の感覚に改めて気づかされて
主人公と一緒に問題に向き合って
想いがあふれる。
あふれる瞬間まではなぜかとても苦しいのに
一旦あふれたら気持ちよくなる。
いいこともわるいことも
一人の人間が体にため込める想いは限界があって
新しい想いを入れるには
一旦あふれさせなきゃならない。
だから、
わたしはあふれさせるきっかけを求めて
ばななさんの物語を読む。
ほかの本や音楽もそう。
苦しくて、切なくて、最後は、うれしい。
そういうものに出会いながら
わたしはわたしの王国を築いていくのだ。